北海道

第4章 計画の主要施策

第1節 グローバルな競争力ある自立的安定経済の実現

2.国際競争力の高い魅力ある観光地づくりに向けた観光の振興

 北海道には、豊かな自然環境、さわやかな夏や雪・流氷が見られる冬など温暖な地域とは異なった気候風土がある。また、こうした自然や気候風土がはぐくんだ個性ある景観や歴史・文化、安全で高品質な農水産物等、アジアの中でも特徴的で、魅力的な観光資源を有している。これらを活用して、国内はもとより、東アジア地域を始め海外との観光交流の拡大を図ることが重要である。
 また、北海道における観光は、食にかかわる産業を始め他の産業分野の雇用を創出するなど波及効果が大きいことから、地域経済を先導する産業としての役割が期待されている。
 なお、旅行者ニーズの多様化、観光分野での国際競争・地域間競争の激化等観光をめぐる諸情勢に著しい変化が生じており、これらに適切に対処する必要がある。
 
(1) 国際競争力の高い魅力ある観光地づくり
 北海道は、アジアの中でも特徴的な自然環境等を有しており、地域それぞれが持つ資源・特性を活かして、旅行者ニーズの多様化等に対応した、国際的にも個性豊かな観光地づくりを進める必要がある。
 このため、自然環境の保全や適正な利用を図るための取組とともに、優れた自然の風景地、良好な景観、温泉等国内外の観光客にとって魅力となる観光資源の保護、育成及び開発を推進する。あわせて、観光客の滞在や行動に伴う環境負荷を低減させる取組を推進する。
 また、地域住民やNPO、企業といった地域の様々な主体が行政と連携し、美しい景観づくり、活力ある地域づくり、魅力ある観光空間づくりを行う「シーニックバイウェイ北海道」など地域が主体となった取組を促進する。
 特に、北海道を訪れる外国人観光客に人気が高い自然観賞、冬のイベントやスポーツを目的とする体験型観光、観光客と地域のより深い交流を実現する長期滞在型観光や客船クルーズ旅行等ゆとりのある観光を推進するため、良質なサービスの提供や関連する施設の整備を進める。また、広域周遊型観光を促進するため、複数の地域が広域的に連携して行う観光資源のネットワーク化や情報発信の取組を促進する。
 北海道への外国人観光客の誘致を図るため、特に、2008(平成20)年の北海道洞爺湖サミットの開催等を活用し、北海道の魅力を戦略的に発信する。さらに、国際会議や国際的な規模で開催される行事の誘致を促進し、情報発信の機会の充実を図るとともに、国際交流を推進する。
 観光を始め多様な形での交流を拡大するには、来訪者を暖かく迎え、外国人や高齢者等が容易かつ円滑に旅行できるような観光地づくりを進めることが必要である。特に、外国人観光客に対しては、言葉の壁を取り除くことが重要である。
 このため、北海道を訪れる人々に対する地域の案内や魅力の紹介、通訳等のサービスを担うガイドの確保・育成に向けた取組を促進するとともに、情報通信技術を活用した観光に関する情報の提供を推進する。また、外国語対応が可能な観光案内所、宿泊施設等旅行に関連する施設、さらに多言語表記や図記号を利用した案内表示の整備を推進する。
 加えて、旅行に関連する施設のバリアフリー化を推進するとともに、ユニバーサルデザイン(注10)に配慮した観光地の整備や旅行商品の開発を促進する。
 
(2) 地域経済を先導する観光産業の振興
 北海道における観光産業の更なる発展のためには、地域の特徴的な資源・特性を活かし、食や健康といった内外の人々の嗜好・ニーズと観光を組み合わせ、地域の活性化に向けた相乗効果をより一層追求することが重要である。
 このため、豊かな自然環境と農林水産業を始めとする地場の産業を組み合わせたグリーンツーリズム、マリンツーリズム、ヘルスツーリズムといったニューツーリズムの創出・普及を、産学官が連携して促進する。また、地域資源を利用したその地ならではの産品の開発・販売やこれらの活用を促進する。
 さらに、地域の観光産業の中核を担うリーダーや接遇に携わる人材を始めとする観光産業の従事者、多様な主体が参画する観光地づくりをマネジメントする人材等の確保・育成と能力の向上を促進する。その際、観光関係人材の育成に取り組む大学等との連携を促進する。
 
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(注10)ユニバーサルデザイン:年齢、性別、能力、言語等にかかわらず、多様な人々が利用しやすいよう最初から考慮して、都市、生活環境、情報、サービス等をデザインする考え方。

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